第1章

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手のひらに乗せていた黒い光が白く発光し、何の前触れもなく浮かび上がった。 目の前でそんな事が起きれば当然の如く光によって目が潰され、ボクは何も見えなくなる。 突然の事に驚き頭の中が混乱するなか、とにかく最初に考えたのが…… 「なんで黒い石が白く光るんだよ!?」 というどうでもいい事だった。 そうして石に対し声を出して突っ込んだ直後、今度は頭の中に聞いた事も見た事も無い情報が流れ込んできた。 感覚としては音量をMAXまで上げたヘッドホンを付けられているような感じ。 ……わかり辛いけどそれが一番近いのだから仕方ない。 頭をガンガン揺さぶられるような感覚は数十秒ほど続き、これまた驚くほど唐突に消えた。 急に消えた感覚に戸惑いながらも、不思議と頭の中に残っているとある『言葉』を無意識のうちに口にする。 「《焼き焦がす火球》」 そう口にした直後、上に向けていた右手の掌からバレーボールぐらいの大きさの火の球が飛び出した。 チッ!! 右手から放たれた火の球はボクの髪の毛を数本焦がしながら飛んでいき、そのまま天井にぶつかって焦げ跡だけを残して消える。 ……まさか今のは魔法というやつなのだろうか? いきなり使えるようになるなんて思ってもいなかったんだけど。 思い当たるのは突如頭の中に流れ込んできたあの情報、むしろそれ以外に考えられない。 なるほど、これがあの黒い光が言っていたプレゼントって事か。 こんな方法使わなくても普通に教えてもらいたかったよ、うん。 ひとまずその事については置いておくとして、実は頭の中に浮かんできた魔法名らしき言葉がもう一つある。 ついでだからこっちの魔法も発動してみようと思う、いざって時に効果がわからない魔法なんて使えないからな。
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