序章

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―――ピピピピピポ。 「……んぅ……」 数十秒ほど前から鳴り続けていた目覚まし時計を止め、そのために伸ばした右腕を布団の中へと戻す。 今日は週の真ん中とも言える水曜日。 ついでに言えば特に祝日というわけでもなく、普通に学校へと行かなければならない。 そして現在時刻は午前七時二十分、帰宅部所属のボクが学校へ登校するにはちょうどいい時間帯だ。 ……だというのにこの暖かい布団からは出ようなんていう気持ちはボクの中に微塵も生まれてこない。 幾ら秋と呼ばれる季節の終わりが近いとは言え、すでにこの地域の朝は冬と言っても過言ではない気温になってしまっている。 一応昨晩はこうなる事を見越して暖かい服装で布団には入ったのだけれど、どうやら冬の朝の気温はボクの予想を容易く上回ったらしい。 ……まぁ、だからと言ってこのまま布団で丸くなり続けるというわけいにはいかないんだけども。 「……ちくせう……寒過ぎだって……」 数分ほど布団の中で逡巡したところで気持ちを切り替えたボクは天国から抜け出し、一人でぼやきながらも顔を洗うために洗面台に向かった。
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