序章

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洗面台へと移動したボクは温めのお湯で顔を洗い、昨日の夜に予め置いておいたような気がするタオルで顔を拭く。 そうしてさっぱりとしたところでふと目の前にある鏡に視線を移した。 あちこちに傷が目立つ鏡に映り込んでいるのはいつもと変わらない自分の顔。 髪の色は一般的な日本人に多く該当する黒色で、長いのは鬱陶しいという理由により髪の長さは短め。 ついでに目の形は若干つり目で、瞳の色は茶色。 そして顔を洗った直後だといのに口元には涎の痕が。 ……うん、たまにはこんな事だってあるさ…… 自分の適当さに若干くじけそうになりつつも、再度顔を洗って今度こそ涎の痕が残っていない事を確認して洗面台からは離れる。 その際に壁に取り付けてある時計で時間にまだ余裕がある事を確認し、続いて空腹を癒すための朝食の準備へととりかかった。 とは言っても本日の朝食は準備するのが非常に簡単な目玉焼きであり、調理どころか食事自体もあっという間に終わる。 この時点で壁時計の針はちょうど八時を指し示し、食器を片付けたボクは寒さに耐えながらも制服へと着替え始めた。 ―――ピンポーン。 ボクが制服に着替え始めてから数分後、小気味よく鳴り響いたチャイムに続いて聞こえてきたのは毎朝一緒に学校へと通っている友人の声。 「おーい、シュウトー。 早く学校行こうぜー」 「もうちょい待っててなー」 その声にブレザーの袖に腕を通しながら返事を返し、ネクタイが曲がっていない事を確認してから鞄を掴んで急いで玄関へと向かった。
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