第1章

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. 「……え?」 頭の中で謎の声が聞こえた直後、ボクはいつの間にか何処かの教室の中に立っていた。 隣りにいたはずのシノの姿は無く、それどころか教室の中には誰もいない。 広い教室にいるのはボクただ一人。 ……まずは落ち着こう、そうでもしないとまともな思考なんて出来はしない。 すぅ……はぁ…… 大きく深呼吸をしただけだが、気分的に少しだけ楽になった気がする。 こういう時、最初にすべきは現状把握。 体の調子は?―――別段異常はない。 服装・手荷物は?―――教科書なんかが入っていたカバンが消え、服装もいつの間にか変わっている。 着ていたはずの学ランは何処かに消え去り、現在の服装は無地の黒いタンクトップに同じく黒いカーゴパンツ。 加えて靴も変わっており、黒い革靴が黒いスニーカーに変化。 ……黒尽くめだな、と服装に関するひとまずの感想を述べたところで次の確認へと移る。 ここは何処だ?―――それを確かめるためにも閉め切っているカーテンを捲り、外の景色に視線を向けた。 カーテンを捲った先にあったのは……岩の壁。 これでは窓の意味が無いと考えたボクは間違ってはいないはず。 それはともかくここがボクの知る校舎では無いという事ははっきりとわかった。 ボクの記憶が間違っていなければ、これまでの人生の中で窓の外に岩の壁がある学校なんて見た事がない。 つまりここはボクの知らない校舎―――そう仮定するのがよさそうだ。 とりあえず窓の外を見ても何の情報も得る事が出来なかったため、今度は教室の出入り口から様子を窺ってみようと思う。 まさかこっちのドアを開けても岩の壁でした、という事はあり得ない……はず。 でないとボクはここに入れない、入り口も塞がっているのだから当たり前だ。 そんな感じで考えをまとめ?ながらドアに手をかけようとした瞬間、ボクの背後から『あの声』が聞こえてきた。 『【ねぇ、キミ。命を無駄にしたくないのならまだそこは開けるべきではないよ、とミーは忠告してみる】』 今度は頭の中では無く、はっきりと背後から聞こえてきた。 その事に驚き、咄嗟に振り向いた先に佇んでいたのは―――人型の黒い光。 周りの光すら吸い込みそうな黒い光は、驚くボクを見て【クスクス】とだけ笑っていた。
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