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『【酷いナー。仮にもミーはキミの願いを叶えてあげたんダヨ?
それなのにミーを見てビビるのはお門違イじゃないカナ】』
奇妙なイントネーションでペラペラと1人喋り続ける黒い光。
しかしその言葉は間違ってはいない。
黒い光の言った通り、ボクは目の前に存在する【何か】に恐怖していた。
ただ見ているだけのはずなのに、ただ奴の言葉を聞いているだけのはずなのに。
ボクの頭の中は【怖い】という言葉で埋め尽くされていた。
『【―――とまぁ悪フザケはこれくらいにシテ。そろそろ本題に入ろウカ】』
だがその恐怖も黒い光がそう言った瞬間に唐突に消え失せる。
あれほど黒い光に対する恐怖が頭の中を埋め尽くしていたのに、今はそれが【一片たりとも】存在しない。
『【クスクスクス、不思議ソウナ顔してるネ。
今のハ俗に言ウ殺気いうッテやつダヨ。良かったネ、一足早く体験デキて。
コレでもミーはキミの事を気にいってイるんダ。
殺気を体験サセテあげたのはチョットしたプレゼントだよ】』
ボクが何かを尋ねたわけでもないのに、自ら次々と勝手に喋っていく黒い光。
ただただ呆気にとられるばかりだが、黒い光の言葉を聞くうちに少しずつ新たな情報は集まってきた。
……もしかしたらそれが黒い光の狙いなのかもしれないけど。
『【サテサテ、それじゃあキミにとってノちゅーとりあるヲ始めようカ】』
黒い光はボクの考えや心が読めるのか、どうにか落ち着いて考え事が出来るほどの余裕が出来たところで、見計らったかのようにいきなり説明を始める。
『【まずはミーやキミが今いるこの世界にツイテだヨ。
世界の名前はコファン、ありきたりなファンタジーにヨクある剣と魔法ノ世界サ】』
こんな非現実的な黒い光が出てきた辺りで『もしかしたら』とは思っていたが……
しかし、黒い光がたった今はっきりと告げた事で理解してしまった。
ボクのいるここは地球ではない、と。
『【ほラ、驚いてイルところ悪いケど説明を続けルヨ?
コファンに存在スル国は4つだケ。……イチいち説明すルの面倒ダかラ、国の名前は地図見て自分で勉強シテね】』
まさかの面倒発言、驚きはしたが黒い光が次の説明を始めたのでそちらに意識を向ける。
この先どうなるかわかったもんじゃない。
だからこそ今手に入れられる知識は全て手に入れておく。
……何が起きても対応できるように。
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