6.エピローグ

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   肌寒さを感じて、僕は目を覚ました。  そこは森の中。僕は少女の膝の上だった。 「気分はどうだ?」  夕焼け空の中に一番星を確認できた。もうこんな時間か。 「その様子じゃあ、ちゃっかり成功しちゃったみたいだな――流石、私」  心はひどく穏やかだった。痛みも恐怖心も、次第に和らいでいくのを感じるほどに。 「一応あんたにも訊いてやるが、名前は何が良いと思う?」 「……」 「黙ってちゃあ分からんだろ。言わなくても理解できる方法はまだ習得してないんだ」  何の話をしているのか、僕には理解できなかった。  ただ新しい遊びを見つけた子供のような笑みを浮かべて、彼女は語り続ける。 「まぁあいいや。dream within a dream(夢見る夢)。取り敢えずはそう名付けておくよ」  どうぞお好きに。その一言に尽きる。何があったかは知らないが、良かったな。  そして彼女は空を眺めた。僕の見ている星でも眺めているのかもしれない。 「そろそろかな。最後に名前くらいは勝手に名乗らせてもらうよ。私は普通の――――、―――――だぜ!」  そこから先は途切れ途切れにしか覚えていない。  ただ彼女の去り際の一言が「じゃあな」だったことだけは覚えている。  こんな森の中で独りになるのは寂しいものだな。  何処かでカラスが鳴いている。僕もかえることにしよう。  まだ陽は沈んではいない――はず。
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