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男は追ってこなかった。
それでも自然と早足になった。
わたしは自分のもっている潔癖というものにすこし辟易していた。
他人はともかく、自分の汚れは許せない。
ましてはそれを指摘されるなんて、絶対にイヤだ。突き刺さる。
しかも、ひじき、だなんて。
さすがに女に向かって言っていいことと、悪いことがある。
わたしは対外的というのか、外に向かってはそういう神経質な部分はださないように努めている。
感情の起伏の頂点で、どうしても相手とぶつかってしまうところはあるが、ふだんはどちらかというとルーズな面を見せるようにしている。
けれど、ルーズというのもどうかしら。
わたしは首をひねった。
ルーズすぎて、そこを指摘されるのも当然といえばそのような気もする。
ひじきはルーズの最たるものであった。
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