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わたしはバックを漁り、駅前でもらった、英会話のなんたらと宣伝文が印刷されたポケットテッシュを取りだした。
幾枚か抜きとると身をよじり、スカートをまくりあげた。
溜息を洩らす。徴がじわりと流れだし、ショーツを汚していた。
先ほど直接お腹のなかに爆ぜ、閉じこめられていたものが滲み、あふれていた。
それがお気に入りの黒いパレットショーツの内側で不服そうに盛りあがり、幽かに揺れている。
なにか胸の内を去来するものがあるかと構えていたが、とりあえずなんの感慨も沸かない。
放っておくと、顔を寄せて匂いをかいでしまいかねない気がした。
顔をそらし気味にしてショーツを床に落とすと、ブーツの踵で踏みならし、それを目の高さまで指で摘まみあげた。
それにしても、呆れる量だ。
染みついた体液の重みでよじれて、すぼまり、垂れさがって、こうなると汚物と呼ぶにふさわしい。
わたしは首をかしげた。
互いの交わりにおいて放たれた瞬間は熱をもち、ある輝きをもって迎えいれることができるのだが。
いざこうして距離をおき、時間の経過を得ると、なんともしおたれている印象しかない。
わたしはそれを小さく丸めてテッシュで包み、ゴミ箱に棄てた。
粘度のおちた徴が内腿をつつっと伝って流れおちていった。
そのよそよそしい冷たい違和を覚えた瞬間、眉間に皺が寄っていた。
トイレの便座に片足をあげて、なんとも行儀のわるい恰好だ。
自分のはしたない姿を脳裏にうかべつつ、わたしは残ったテッシュで、とりつかれたように拭きあげた。
その部分に吸いこまれる指を冷静に眺めながら、自分の息遣いに耳を澄ます。
内側まで指を指し入れ、掻きだした。
室内に備えつけられているトイレットペーパーは使わなかった。
それで拭くと千切れてよじれ、ひじきのように丸まって、気づかぬうちにその場に固着してしまうことがある。
そしてついさっき、そのことを男に露見され、たわいもない喧嘩をし、わたしは家を飛びだし、現在にいたる。
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