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今日は週刊漫画の発売日だ。
買うのが勿体なくて、薫はいつもコンビニで立ち読みをする。
月曜日はいつも同じ店員で、メガネを掛けたその小柄な女性は、薫が1時間近く立ち読みしても興味なさそうにしていてくれるので、薫にとっては都合がいい。
店の自動扉が開いて、ニット帽をかぶった男が入って来る。
男は何も買っていないのに、例のぼーっとしたメガネの店員のいるレジに直行する。
男は何も言わずに店員を見つめる。
いやその目は生気がなく、正確には何も見てはいない。
ただ目の前のものを瞳に映しているだけ。
あきらかに異常な男のただならぬ雰囲気。
店員は這い上がってくる恐怖を抑えて、尋ねる。
『あの・・・ご用件は?』
ああ、いいところで来週か。あれ、今週は探偵ラウルが載って無いじゃん。
薫は立ち読みに夢中になっていて、男の様子がおかしいことにまったく気付いていない。
後ろで激しい叫び声が上がった。
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