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月夜の晩。
無防備のまま夜の王宮は静かに佇む。
正門はガッチリとその口を閉じ、両脇にある監視の塔には明かりすらない。
時折こだまする狼の遠吼え。
きぃん・・・!!
音とほぼ同時に王宮の一郭の壁が崩れ落ちる。
がらがらごろがら・・・。
崩れ落ちる壁、舞い上がる砂煙。
そこから現れたのは、私、ティナ・レヴィ。
職業は盗賊。
王宮の衛兵、人々にはあらかじめ夕食に仕込んだ眠り薬でお休みになってもらった。
とはいえかなりの大人数。
すべてお休みしてもらうまでにすっかり深夜になってしまった。
薬なしでお休みになっているのはせいぜい王族と具合でも悪くしている下っ端兵士くらいだろう。
派手に壁をぶち壊したけども聞こえる音は消音の魔法で音はかなり小さくなっているはず。
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