0人が本棚に入れています
本棚に追加
解放日、心も体もボロボロになったのでもう死のうと思っていた。海に向かって歩いていた。季節外れのせいか観光客はいない。ただ一人ほむらは地平線を眺めた。
「IQ150の女」
「中沢くん…?」
「たまにはこういうのもいいな。そうだサーフィンやらないか?景気よくね!!」
曇り…では無い。黒く天井が現れ周りを囲い。中心に奇妙なメカが踊りくねっている。芸術的で研究機関にも似ていた。
「怖い…」
「幻なのか?ヤバいもの俺たち食ったっけ?」
巨大なアルコールランプが灯をともし、ひどく明るい。ビーカーの中には時計がどろどろに溶けたり接合しあったりしていた。それが出てくるとほむらは猛烈にぶつかった。後方に飛ばされ腹部を圧迫する。
「いくらなんでもこの死にかたは嫌!!!!」
光に包まれ、自分は白衣以外の服装に変わっていた。知性を感じさせる青を基調とし、幾何学的複雑な模様が描かれている。武器は無い。
「これって…」
しばらく戸惑っていたが、これは天から与えてくれたチャンスなのだと思った。怪物に向かって思いっきりパンチする。体は思った方向に飛び見事な軽やかさだった。力は強くない。しかし知性は高い。物理攻撃は簡単に避けられる。
「法則はすべて見抜いた」
瞬間、空間は消え去った。海岸は美しい夕焼け。変わったことは黒い物体が落ちていることだけだった。
「ほむらちゃん!すごい!天才だよ」
聞きあきた台詞だが、なぜか中沢に言われると心の内が燃え上がり優しい気持ちになったのだった。
「ありがと」
レストランで一人で食事した。研究機関からの報酬で金持ちなのだ。高級ステーキに食らいつくとすべてを忘れられた。明日はまたいかなくちゃならない。
「あれが代償?」
「魔女を倒す使命を与えられたんだ。これから魔法少女になって永遠に戦いつづけるのさ」
「最低…何で最初から大事なことを言わないの?死ぬところだったじゃない!中沢くんも!」
「本当は死にたかったのに…人間は心変わりが早い生き物だね」
インキューベーターはステーキの残りをむしゃった。
まどかの引っ越しの日がやってきた。ほむらは今度こそ離ればなれになると確信した。目には涙。手にはクラスを代表して貰った花束が握られていた。
「忘…れない…でねわわ私のこ…と」
「顔を上げてほむらちゃん」
「え?」
「実は私のお父さんは東京都心部の研究機関の研究員として配属されたの。だからその近くに引っ越すの。
最初のコメントを投稿しよう!