ビスケット

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気づけば、社会人二年目に入った。 今年も頑張って働こうと思っていた矢先、予想外なことが起きた。 「克哉先輩。」 俺の名前を呼ぶ、その声に聞き覚えがあった。 顔を見た俺は何もなかったように歩いた。 「…無視するなんて、先輩変わりましたね。」 腹に痛みを感じる。 笑う彼女はとても可愛い。 「…いきなり殴ることねぇだろ。」 「無視した先輩が悪いんですよ。」 桐原克哉と赤松奈緒の一年振りの再会は、まだ肌寒い4月の風が強い日だった。
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