ビスケット

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「家に泊めて。一人暮らしでしょ?」 何処から情報を得てきたのかは解らない。 奈緒は笑う。 この顔に騙されてはいけない。 俺はこの女の恐さを知っている。 「いや、ちょっとむっ。」 腹部に痛みを感じる。 「可愛い後輩がこのままだと野宿になりそうだっていうのに、先輩はまさかそんなことさせませんよね。」 妙に自分の顔が引き攣るのがわかった。 上下ジャージの可愛いげのない格好だ。 「先輩。泊めてくれますよね?」 ゆっくりとした口調の奈緒に、身体がブルッと震えた。 「…本当に?」 「本当です。」 俺は溜め息と共に頷くことしか出来なかった。
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