ビスケット

6/6
前へ
/167ページ
次へ
「うわっ、タバコ臭っ。」 玄関を開けるなり、奈緒は声をあげる。 そして、俺を睨む。 「先輩、タバコ吸ってる?」 「悪いかよ。」 「まだ未成年じゃん。」 文句を言いながら遠慮なく中に入っていく。 リビングのテーブルの上にはいっぱいになった灰皿と、空き缶。 「ちょっと先輩のこと嫌いになった。」 ギッと俺を睨む。 俺はずっと奈緒のことが顔以外嫌いだ。 「そこの部屋、使っていいから。」 物置にしていた部屋を奈緒に教えると、奈緒の顔はニヤッと笑みを浮かべた。 「私が先輩の部屋使うんで、先輩がこっち使って良いですよ。」 あまりにも酷い。 だけど、俺は何も恐くて言えない。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加