タバコの苦み

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奈緒は俺の家に居座っている理由を、まだ話さない。 聞く度に「先輩に関係あるのか」と睨む。 「はあ…。」 溜め息とタバコの本数ばかり増える。 「どうした溜め息なんてついて。」 喫煙所で会社の同僚に聞かれ、俺は口を開く。 「家に後輩の女居座って大変なんだよ。」 同僚は女がいるなんて良いことじゃんか。と始めは言っていた。 だけど、部屋を取られたこと、ボクシングをしていたこと、自己中なことを話したら、黙って「ドンマイ」としか言わなくなった。 家に帰りたくても、家に奈緒がいると思ったら帰りたくない。 会社にいるうちは仕事をしていれば良いから楽だ。
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