「さぁ、始まりだヨ」

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おかしい。おかしい。おかしい。 昨日は、もう三日前に体験した。 今日の出来事は一昨日やったことと全く一緒だ。 なんで。なんで誰もこの異変に気づいてないんだ!!? 俺の計算が正しければ2月29日はもう37回も経験している。 1日1日が少しずつどこかが違うけど、 こんなの絶対おかしい!!!! いつもの予定だと、この後、赤の信号機に少年が飛び込むんだ。 それを俺はもう37回、目撃している。 毎回、腕の曲がる方向や臓物の飛び出しなど少しずつ違うけど、 そして、37回とも全部少年は俺の方を見るんだ。 そして、何かを語りかける。 何を言ってるのかは今だに理解できないけど、 俺がやるべきことは一体なんなんだ? そろそろ時間だ。 また始まる。38回目の血の海に埋もれた少年が。 5 4 3 2 1… その時は、 来なかった。 やった…やった!!!!!! 37回のループから抜け出せた!!!!!! これで変わる、きっと変われるんだ!!!!! そう拳を握りしめて喜んでいた時、後ろから 赤の信号機 に、目掛けて突き飛ばされた。 咄嗟のことでどうすることもできない俺は、 目の前に迫ってきたダンプカーによってはね飛ばされた。 回る、廻る、回る、廻る、回る、廻る、 頭を強く打った衝撃で、さっきから血が止まらない。 内臓をダメにしたのか吐血が止まない。 誰だ。 誰がこんなことをした。 霞む視界を必死に擦り、先程まで自分がいた場所を見た。 「嘘だろ…、」 そこにいたのは、昨日まで37回、そして今日38回目に轢かれるはずの少年だった。 少年が何かを言う。今度は、はっきりと聞こえた。 『ククッ…気づかなかったらよかったのにねェ』 そして、 『でも、君のおかげでボクは助かった。そこはお礼を言うべきかなァ』 帽子で顔を隠していた少年の顔が一瞬見えた。 それはそれはなんという言葉が適切なのかわからないくらい清々しく笑っていた。 『さァ、楽しいショーの始まりだヨ?』 薄れていく意識の中、そんな感じの言葉が聞こえた気がした。
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