0人が本棚に入れています
本棚に追加
常軌を逸した攻撃を放ったことにより、リクの全身が軋む。
死神は最早反応することすら許されず、気がつけば上半身は宙を舞い、自由落下で地面に叩きつけられた。
正に、一瞬の出来事だった。
次第に、呆気ない静けさが周囲に漂う。
そんな中、
「……ひとつ、聞いていいか?」
半身になった死神が尚も口を開き、少年に尋ねる。
少年は傍らまで歩み寄り、地に伏す死神に視線を落とした。
「なんだ?」
「貴様は何故、死神と契約した身でありながら死神を狩る?」
次第に薄れる意識と体。
その間際、本当に純粋な疑問を問う。
「……あぁ」
少年はひとつ間を置いて、ゆっくり口を開く。
瞬間、死神は背筋を凍らせる思いになる。
「死神が憎い……ただそれだけだ」
そう言う少年の瞳は、どす黒い色で濁っており、混沌。
その相貌は最早死神さえも凌駕しうる、修羅。
本当に恐ろしいのは死神という存在ではなく、目の前にいる少年なのだと感じながら、死神は消滅した。
最初のコメントを投稿しよう!