死神

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常軌を逸した攻撃を放ったことにより、リクの全身が軋む。 死神は最早反応することすら許されず、気がつけば上半身は宙を舞い、自由落下で地面に叩きつけられた。 正に、一瞬の出来事だった。 次第に、呆気ない静けさが周囲に漂う。 そんな中、 「……ひとつ、聞いていいか?」 半身になった死神が尚も口を開き、少年に尋ねる。 少年は傍らまで歩み寄り、地に伏す死神に視線を落とした。 「なんだ?」 「貴様は何故、死神と契約した身でありながら死神を狩る?」 次第に薄れる意識と体。 その間際、本当に純粋な疑問を問う。 「……あぁ」 少年はひとつ間を置いて、ゆっくり口を開く。 瞬間、死神は背筋を凍らせる思いになる。 「死神が憎い……ただそれだけだ」 そう言う少年の瞳は、どす黒い色で濁っており、混沌。 その相貌は最早死神さえも凌駕しうる、修羅。 本当に恐ろしいのは死神という存在ではなく、目の前にいる少年なのだと感じながら、死神は消滅した。
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