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加速する体。
世話しなく 通り過ぎて行く町並み。
へばりつく汗。
薄くなる酸素。
目眩と激しい頭痛。
走った動作のまま、後ろを見る。
…自分を追う者の姿はない。
たが、油断大敵。
走ることを止めない。
「くそッ…金を取るとこまでは問題なかったってのに…」
舌打ち。
市街地の裏路地を抜け、人気のない閑散とした道に出る。
周囲をぐるりと見回し、彼はまた走る。
「なんだってんだよ…あいつらッ!!」
先ほどの眩しい景色とはうってかわり、電灯の薄明かりしかない道。
次第に建物の数が減り、かわりに木々が視界に入る。
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