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「その不格好なまでに巨大な鎌…。
貴様……『死神殺し』かッ!!」
薄汚れたローブ…いや、死神は戦慄の声を上げる。
「ーーご名答。
随分と有名になったもんだな」
眼前に佇む少年の、実に涼やかな声。
「お、おい!なんだよ『死神殺し』って!?
つかなんなんだよあいつらッ!?」
隣で震えおののく死神に、青年は乱暴に問いを投げる。
おおよそ、その問いに意味はない。
『死神殺し』という単語が気になったわけでもなく、もちろん目の前の少年の正体を知りたいわけでもなかった。
ただただ、何かしらの言葉を発しなければ、瞬間的に自分の存在が霧散してしまいそうなのだ。
死神は生唾を呑み込みつつ、重々しく口を 開く。
「自身も死神と契約した身でありながら、契約した人間に接触し、死神を狩る者に付けられた異名だ。我が主よ。
あの不格好なまでに巨大な鎌で切り裂かれた死神は、最早数え切れないほどというが……なるほどな、すっかり酔狂な快楽殺人嗜好の契約者に追われていたものだと思っていたが、蓋を開けてみればそれよりも質が悪いとは」
青年は、死神の言葉を何一つ理解できなかった。
ただ解ることと言えば、とにかく危険だということくらい。
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