死神

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何の捻りもない、単純な右腕から放たれたパンチ。 しかし威力は抜群。 あれほどのパンチをまともにくらえば、骨は砕け散り、肉は裂けて、重傷は必至。 「やったか!?」 青年の中に、僅かな希望が芽生える。 が、土煙の中で、拮抗する二体の死神がうっすらと見えた。 リクは放たれたパンチを、長柄で受け止めている。 「馬鹿なッ…!」 バックステップをし、距離を取る死神。 ただただ、驚愕する。 渾身の力で放ったパンチを、自分よりも遥かに華奢なリクが受け止め、何より鎌は折れるどころか、傷ひとつついていない。 「化け物が……!!」 死神は、吐き捨てるように悪態をついた。 「リク、奴は見たところ単独行動型らしい。身体能力は高いようだが、それだけだ。 手早く終わらせるぞ」 少年が、冷静に言う。 今度は、リクが仕掛ける番だ。 リクが地面を蹴る。 巨体な鎌を持っているというのに、まるで物量を無視したかのような驚異的速さで、間合いを詰める。
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