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藤「ああぁああぁぁ……ぉあ?」
座ったままの格好で落とされたので、上手く着地なんて出来ないだろうと身構える。
しかし、落下の浮遊感は数秒もしないうちに感じなくなり、足の裏にはしっかりとした硬さが感じられる。
とっさに瞑っていた眼をあけると、さっきよりも淡い灰色の空間。
そこに何故かちゃんと両足で立てている。
ばっ!と前を向くと、目の前には見上げるほどの巨大な球体が浮いていた。
その球体は白い布のようなものと、黒く細い鎖の様なものがぐるぐると巻き付いている。
何となく、この球体から威圧感のようなものを感じる。
藤「……何だ、このでかい球体は??」
?「こちらはフェンリル様だ。」
藤「ぅお!?……うん?」
俺がまじまじと球体を眺めていると、突然後ろから声を掛けられた。
後ろを振り向くと、周りの淡い灰色よりも若干濃い灰色の靄(もや)の様なものが漂っている。
さっと周りを見ても何もない空間だけ。
辺りと違うのは俺の後ろにいた靄だけ。
さっきの声はもしやこの靄からだろうか?
「……何をじろじろと見ているのだ?」
どうなっているのかは解らないが、靄から声(?)が聞こえてきた。
藤「あー……やっぱアンタが話しかけてきたのか。
…じゃ、アンタがイケメン野郎が言ってた案内役?」
俺がそう聞くと、その靄はすーっと球体の方に移動する。
軽く不気味だな。
「いかにも。
私はフェンリル様とこの空間を守っておる者だ。主が転生する者だな?」
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