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ゆっくりと目を開ける。
淡い灰色の空間にキラキラと散らばる白と黒の破片を、俺は四足で立って見下ろしていた。
ぶるっと一度身体を振るわせて、軽く伸びをする。
俺は今、でかい球体のあった場所の中心くらいに浮いていた。
藤『……あのぐるぐる巻きの封印がグレイプニルだったか。そりゃ苦しいハズだ。』
転生先がグレイプニルでガチガチに封印されていた器(からだ)だったため、“フェンリル”になって最初にいた場所があの球体の中だったようだ。
いきなりで焦ったが、どうやら上手く転生出来たらしい。
俺の身体が、存在がフェンリルになったのが解る。
身体も「力」もしっかり自分に馴染んでいる。
俺はゆっくりと下降し、地面に足を着けた。
「フェンリル様…!」
藤『おお!さっきのモヤモヤ君か……って、なんか小さくなってないか?』
フェンリルのになって尻尾がある事に感動して動かしていると、斜め下の方から靄に声を掛けられた。
さっきまで俺と同じ位の大きさだったはずなのに、高さが今の俺の目線の高さより半分以上低いくらいだ。
「いえ、私の大きさは変わりません。
フェンリル様のお姿になられたからでしょう。」
ああ、なるほど。
この空間何もないから分かりづらいわ。
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