転生しました。

6/16
前へ
/72ページ
次へ
ゆっくりと目を開ける。 淡い灰色の空間にキラキラと散らばる白と黒の破片を、俺は四足で立って見下ろしていた。 ぶるっと一度身体を振るわせて、軽く伸びをする。 俺は今、でかい球体のあった場所の中心くらいに浮いていた。 藤『……あのぐるぐる巻きの封印がグレイプニルだったか。そりゃ苦しいハズだ。』 転生先がグレイプニルでガチガチに封印されていた器(からだ)だったため、“フェンリル”になって最初にいた場所があの球体の中だったようだ。 いきなりで焦ったが、どうやら上手く転生出来たらしい。 俺の身体が、存在がフェンリルになったのが解る。 身体も「力」もしっかり自分に馴染んでいる。 俺はゆっくりと下降し、地面に足を着けた。 「フェンリル様…!」 藤『おお!さっきのモヤモヤ君か……って、なんか小さくなってないか?』 フェンリルのになって尻尾がある事に感動して動かしていると、斜め下の方から靄に声を掛けられた。 さっきまで俺と同じ位の大きさだったはずなのに、高さが今の俺の目線の高さより半分以上低いくらいだ。 「いえ、私の大きさは変わりません。 フェンリル様のお姿になられたからでしょう。」 ああ、なるほど。 この空間何もないから分かりづらいわ。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加