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藤『ふぅん
つーか、何で敬語使ってんだ?』
さっきまで普通に話してたのに…
居心地が悪すぎるぞ。
「フェンリル様に敬意を払うのは当然です!
先ほどは、まだ転生前でしたので……
私が従うのはフェンリル様のみ。数々の無礼をお許しください。」
うわあああ!
慣れてないからか知らんが、コイツの敬語ぞわっとする!
見ろ!尻尾の毛が逆立ったわ!!
藤『うえぇ……なぁお前、その敬g「兄様ぁぁぁぁぁぁ!!」 ぐえっ』
靄に話しかけようとしたら、何か赤いものが俺の喉元に突っ込んできた。
そのままギリギリと締め付けてくる。
俺の姿がでかい狼なので、俺からは首の辺りがよく見えない。
?「兄様ぁ……」
その声に受け取ったフェンリルの想いが反応している。
今の俺には、姿が見えなくても首にしがみついているのが何なのかがはっきり解った。
藤『…………苦しいぞ “ヘル” 』
俺がそう言うと、赤いグラデーションをした長髪の美人さん………ヘルは、俺から離れて泣きそうな顔で俺を見上げる。
ヘル「…兄様……」
あ、かわい…………って違う!
いや、違くないんだけどね
すごくかわいいんだけどね
フェンリルになった今、確かにヘルと兄妹だっていうのは実感してる。
だが、ヘルが知っている兄は“前の”フェンリルだ。
……俺じゃない。
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