9/12
前へ
/64ページ
次へ
「で、用事がないなら俺は行くぞ?」 仕事ならともかく私生活で羽原とは関わりたくないしな。 「おやおや、せっかく出張してきたのにお別れとはつれないですねぇ」 「出張? 天王寺で働いてるんじゃなかったのか?」 「いえいえ、メタ話ですよ」 「……?」 メタ? 何の話だ? 「それはさておき欲島君――」 「待て。その前に欲島って呼ぶのを止めろ。まるで俺が欲の塊みたいに聞こえるじゃないか?」 「え? 聞こえるも何も――」 「あー聞こえない聞こえないー」 まぁね、たまにちょっとだけ、ほんのちょっとだけ欲を出してしまう時はあるよ? でもだからってそんな言い方しなくてもいいじゃないの。 男としては健全だよ、うん。 いたってノーマルだ。 「あ、あそこにムチムチふともものミニスカレディーがいますよ」 「え!? どこ? どこ?」 「あ、すみません。見間違えました」 「……え?」 「………………」 「………………」 うん。ハメられたね、これ。 流石の森野も苦笑いだし。羽原はしてやったりのニヤ笑いだし。 「まぁ……屋久島君も男の子だもんね、うん」 「止めて! むなしくなるから!」 いっそのこといじってくれ! ネタにしてくれ!
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加