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「で、今からどこに行くつもりだったの?」 青信号を渡り終えた辺りで森野が訊いた。 「ん~とりあえずキューズモールかな」 「そっか。ん? それじゃわざわざこっちに来なくても地下道を使えば信号もないしすぐに行けたんじゃないの?」 そう。地下道を使えばわざわざ回り道もせずに、信号に引っ掛かりもせずに行けるのだ。 だがしかしだ。 「いや、俺、地下って苦手なんだよね」 「え? そうなの? 初耳なんだけど」 「うん、まぁ言ってなかったしなぁ」 高校生活において地下のあるところに行くことはなかったし。 まぁ前回は地下のレストランに行ったけども、その時は黙ってたし。 「じゃあ不便じゃない? 天王寺で働くの」 「まぁまぁまぁ、全く無理ってわけじゃないし、我慢もできるからな」 まぁ前までは歩道橋があったから助かってたけど、使えなくなってからは便利とは言えなくなったが。 「じゃあこの前遊んだ時も普通に地下に行ってたけど……」 「いや、森野が選んでくれたわけだし」 「そっか……ゴメンね屋久島君。私、知らなくて……」 「いやいや、教えてなかったから森野は悪くないよ」 「いや、でも……うん、ゴメン」 そう言って森野は俯いた。 別に森野がそんなに落ち込むことなんてないだろうに。 「ちなみに」 と、俯いたまま森野が口を開く。 「昌はそのこと、知ってるの?」 「あぁ、うん。あいつは高校の時から知ってるよ」 「へぇ……そう……そっか……」 と、尻すぼみ気味に森野は呟く。実際に後にも何か言ってたのかあまりにも小声だったので聞こえなかった。 まぁ昔から森野はちょくちょく独り言を言うことがあったから特に気にかけなかったが。
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