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その女とは出張先で立ち寄ったバーで出会った。
「隣、いいかしら?」
女は、カウンター席に座る俺の隣の席に手をかけて言った。
「あ、ああ」
俺はそう答えながら女を見て、思わずゴクリとつばを飲み込む。
女は、生まれてからこのかた陽の光に晒されたことなど無かったのではないのだろうか。
そう思わせるほどの透き通るような白い肌、それに妖しげなその雰囲気は、俺の男心を容赦なくくすぐった。
「見かけない顔ね。ここは初めて?」
女が椅子に座りながら訊いてくる。
「出張でね。そういう君は、ここの常連かい?」
ミニスカートから伸びた足を視界の片隅に入れながらそう答えた。
「うふふ。そんなところかしら。でも、満月の夜限定のね」
女がそう言いながら天井を指さす。
もちろん、夜空が透けて見えているわけではなかったが、その仕草で今日が満月であることを思い出した。
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