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翌朝、隣を見ると女が寝ていた。
いつもは夜を明かさずに帰るのだが、これも昨日のプロポーズの影響だろうか? おれはそっと女の寝顔を覗きこんだ。
その瞬間、背筋が凍りつく。
透き通る白い肌も、男心をくすぐる妖しい雰囲気もそこにはなかった。
そこにいたのは、
妻だった。
「な、な、な……なんでお前が!?」
妻はゆっくりと起き上がり、そして口を開いた。
「女はね、満月の光を浴びて変身するのよ」
妻は無表情だった。それが更に恐怖を感じさせる。俺は全身から嫌な汗がにじみ出てくるのを感じた。
「さて、妻を裏切る不貞の輩にはお仕置きが必要よね? そう思わない?」
そう言って、妻……のようなモノは、笑顔と呼ぶにはあまりにもおぞましい笑みを浮かべて、俺を見た。
終
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