明かされる秘密

14/14
1152人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
うう、痛い痛い。 フロリアンとティナから、ちくちくと刺すような視線を感じる。 うふふあははと朗らかに笑っているにも関わらずその目は全く笑っていない…。 嫌味たらしい台詞が積み重なっていくのに耐えかね、とうとうマルグリットは『だって!』と反論する。 「も、元はと言えば、お兄様が変なことを言うからじゃない!王宮の誰もが知らなかった茶会事件の話をしたりして!怪しすぎるわよっ!」 「本当に失言だったなあ、あれは。まさかマリーが外に…茶会に出ているなんて思いもしなかったんだよ。」 「いや、だからって!」 「元気のない妹のために茶飲み話として話題を提供したつもりが、こんなことになるなんて。 …はあ、僕も疲れていたのかな。」 「最近、不眠不休で働いていますものね。」 「ホントだよ。この件が終わったら有給を取ってバカンスにでも出かけようかな…」 「あら、それはいいですわ。」 優雅に会話する二人に完全にはぐらかされる形となったマルグリットは、ぐぬぬと歯ぎしりをする。 暗に…というか結構ストレートに自分を責めているのが言葉の端々から感じられて、気分が悪い。 まるで、悪戯が見つかって叱られている子供の気分だ。 ――何よ、全部私が悪いって訳!?私だってお兄様が心配だったのに…! 「さて、君の方の謎は全て解けたかな。探偵きどりのお嬢さん?」 「へ?」 ―と、 マルグリットが不貞腐れていると、フロリアンは唐突に話を切ってそう問いかけてきた。 「さ、今度は君の番だよ、マリー。あの茶会の時、何故下女として参加していたんだい?ティナによれば赤毛の鬘をかぶっていたそうじゃないか。」 「う。」 「そういえば、あの狸親父が最近陛下は十代の赤毛に緑眼の下女を探していると言っていたけど…もしかして何か関係があるの?」 「うう…。」 笑顔で追いつめてくるフロリアンに、たらりと冷や汗が一筋、頬を流れる。 逃げ場はない。 言い逃れできそうな雰囲気でもない。 …というか、すでに八割方バレているに違いないっ!! ――お兄様の秘密も教えてもらったし、ここで隠しとおすことはできないわね…。 マルグリットは観念したように長いため息をついた後、手短に後宮に入ってからの『なりかわり生活』について説明したのだった。 .
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!