再会はパニックの連続

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「馬鹿なことをしたものだね。」 マルグリットから話を聞いたフロリアンの第一声はそんなものだった。 隣のティナもうんうんと頷く。 「全く理解できないよ。いくら後宮生活が暇で退屈だったからと言って、何故下女になんかなったりしたんだい?」 「そうですわ、マルグリット様。しかもエイミィ…でしたっけ、関係のない庶民の下女を勝手に巻き込んで『なりかわり』など。」 「確か、一緒にルビアが付いて行ったはずだろう?彼女に止められはしなかったの?」 「…しました。」 「それなのに、強引に押し切ったんだ。さぞ怒られたことだろうね。」 「…すごく怒られました。」 ぼそぼそと呟きながら、マルグリットは俯いた。 ―なんなのだこれは。悪戯小僧の説教タイムか。 マルグリットは心の中でぐぬぬ、と唸った。 確かに『なりかわり』について、全面的に自分が悪かったのは認めよう。 関係のないエイミィをとんだ大事に巻き込んでしまったのも事実。 ルビアに怒声を浴びせられもした。 …しかし、こちらにだって言い分はある。 エイミィとの『なりかわり』の間、下女の仕事はしっかりきっちりやっていたし、エイミィだって側室生活を楽しんでいた。 入れ替わりは誰にもばれない自信があったし、そもそも誰にも何も迷惑をかける気はなかった。 では、何がいけなかったのか。 果たして全部、私のせいか? 否、それは違う。 全ては絶望的ともいえる自分の運の悪さのせいだ。 そんな、自分ではどうすることもできないもの、どうしろというのだ。 こちらは真面目に下女の仕事に取り組んでいただけだ。 薬花を見つけたのだって間者の発見だってお茶会で毒を見抜いたのだって陛下が『エイミィ』を後宮に入れたのだって公爵にぶつかって兄の正体がバレたのだって、 全ては偶然。運命の神サマの悪戯。 ほら、こう考えてみると私だけの責任ではないような気が…… 「それは責任転嫁というものだよ、マリー。」 「……。(心を読まれた…)」 .
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