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「では、このような施しは結構です。」
「…?」
―が、明らかに様子のおかしい下女に笑いが止まる。
彼女は机の上の茶菓子には目もくれず、椅子を引いてふらりと立ち上がった。
「刑罰なら甘んじてお受けします。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした…」
「―なんだと?」
「これから牢屋行きでしょうか?あの、遺書を書く時間くらいは与えてもらってもいいですか?」
「ああ、待て待て!そのような意味でお前を呼び付けたのではない!」
ヴィルフリートは慌てて今にも自害でもしそうなマルグリットを呼びとめる。
下女はぎぎ、とぎこちない動きで立ち止まり、彼の方へ顔を向けた。
「…何でしょうか。」
「そんな死人のような顔はやめろ。お前は処罰されるのではない。」
「へ?」
「いいから座れ。説明をする。」
首を傾げ、間抜けな表情をさらすマルグリットに、
悪ふざけが過ぎたか、と頬をかくヴィルフリート。
両者とも傍から見ればひどく滑稽に見えた。
―何だこの茶番劇は。
その場にいた全員が思ったことだろう。
何人かは堪え切れずに噴き出してしまっていた。
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