午後の茶会

6/11

1156人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「では、このような施しは結構です。」 「…?」 ―が、明らかに様子のおかしい下女に笑いが止まる。 彼女は机の上の茶菓子には目もくれず、椅子を引いてふらりと立ち上がった。 「刑罰なら甘んじてお受けします。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした…」 「―なんだと?」 「これから牢屋行きでしょうか?あの、遺書を書く時間くらいは与えてもらってもいいですか?」 「ああ、待て待て!そのような意味でお前を呼び付けたのではない!」 ヴィルフリートは慌てて今にも自害でもしそうなマルグリットを呼びとめる。 下女はぎぎ、とぎこちない動きで立ち止まり、彼の方へ顔を向けた。 「…何でしょうか。」 「そんな死人のような顔はやめろ。お前は処罰されるのではない。」 「へ?」 「いいから座れ。説明をする。」 首を傾げ、間抜けな表情をさらすマルグリットに、 悪ふざけが過ぎたか、と頬をかくヴィルフリート。 両者とも傍から見ればひどく滑稽に見えた。 ―何だこの茶番劇は。  その場にいた全員が思ったことだろう。 何人かは堪え切れずに噴き出してしまっていた。 .
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1156人が本棚に入れています
本棚に追加