午後の茶会

10/11
1154人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「このように、ディーボ草のエキスはかなり毒性が強いです。まあ、人間相手ですと高熱が出る程度ですが…」 「…何故、分かった。」 「勘です。」 「……勘。」 いや、それはないだろう、とヴィルフリートは反論したかった。 豊富な知識に、行動力。そして的確な判断… 何故この女は、ここまで敏感に察知し最善の道をとることができる。 花に間者、そして今度は毒。 一体、この下女は何者なのか―― 「それより、よろしいのですか?この毒を入れた犯人を突き止めないといけないのでは?」 下女の声にハッと我に返るヴィルフリート。 見ると『エイミィ』が自身を見下しているのに気がついた。 ヴィルフリートはごほん、と咳をひとつするとすぐさま立ち上がり、護衛に目を向けた。 「そうだな。――ユイン!」 「はい。ただいま、この紅茶をいれた侍女を連れてきます。」 「おそらく先日の間者と関係のある者だろう。必ず探し出せ!」 「御意。」 返事と共に、ユインはさっと踵を返した。 まだ近くに潜んでいると思われる、侍女に扮した何者かを探し出すよう、 外にいる数人の衛兵に指示を飛ばし、彼自身も廊下に出る。 そして、数人の兵を引き連れ走り出した。 .
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!