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兄貴の走りは、ポールポジションやファステストラップこそ少ないが、タイヤを傷めない滑らかなものだ。
それでいて、ラップタイムは常に上位。
だから、タイヤの磨耗を減らし、ライバル達がタイヤ交換している間に、前へ出て引き離す、という戦略で2年目は合計9勝を挙げた。
その走り方は往年の名ドライバー『アラン=プロスト』のようだ、と評されていた。
3年目、2年連続ワールドチャンピオンの期待がかかる中、初戦から6連勝を挙げた。
その後もポイントを獲得する走りを魅せ、シーズン半ばにしてワールドチャンピオン及びコンストラクターズタイトルを決めた。
その活躍ぶりから、来年は名目チーム『スクーデリア・ラフェッリ』や『クレマラン』から契約を持ちかけられている、という噂も流れた。
兄貴はまさにF1を走らせるためだけに生まれた男だった。
だが、そんな兄貴が、オレは大嫌いだった。
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