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月の光が妖しく揺らいでいる。そこに何かの意思を感じるが、それが何か、正体は掴めない。 僕は頭を振ってその感覚を追い出すと、傍らで同じように空を見上げている彼女に視線を戻した。 彼女もまた、月の光を浴び、白く輝いていた顔をゆっくりと下ろすと、視線を僕に絡ませてくる。そこに、いつもと違う色を見たような気がした。 しかし、僕が感じたそんな些細な違和感は、いつもの彼女の悪戯っぽい笑顔に消え去り、違和感を感じた事すら忘れ去っていた。 「ねぇ、月を食べたくない?」 彼女はそう言うと、僕の手を引いて歩き出した。 「ダメだよ、門限には帰すって君のお母さんと約束したんだから」 僕は苦笑いしながらそう答える。 「すぐだから大丈夫よ」 それでも彼女は、どんどん先に進んでいった。
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