一題目

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太った男が勧めたる、人の集いしレストラン。 何を食べれば良いのかと回りの人に聞いてみた。 太った男はこう言った この店ならば何一つさえ不味いものなど有りはしないと ただ一つだけ言うんだったら、特別料理は格が違うと 次に聞いたは老いぼれた、老船乗りの男なり 彼の答えはこの通り やはりスープが最良なりと やはり具材は海亀の肉 次に尋ねたその相手、数多稚児率る女なり 彼女の答えはこの通り 一番好きなあの品物は、自制していて食べないつもり でもやめられぬ広がる酸味 赤く弾ける石榴は至高 次に訪ねたその相手 洋行帰りの大工さま 彼の答えはこの通り 帰りの船で食ろうて以来 忘れられないあの腸詰め 諦めきった私は 奥の店主に尋ね聞く 今宵は出ぬか特別料理 ニヤリと笑ったその男 丁度よかったいい具合だね 今日は良い日と覚えおけ 今日は正しく収穫日和 暫く待てば食わせよう はたと気づいた私は、一目散に逃げ出した 果て何事に気づいたか 解らば解れ 知らば知れ
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