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刈魔の微妙な眼差しを背に受けているとも知らず、一郎はサイコロの手触りを確かめるように何回か真上に軽く投げてはキャッシュを繰り返す。
そして覚悟は決まったらしく、待機グループに「行くぞぉぉぉぉぉぉ!!!!」と叫びながら大きく振りかぶった。
元祖主人公としての
勝負強さを見せられるのか!
「どっせぇぇぇぇい!!!!」
叩きつけるのではなく下から山なりに放り投げ、地面にぶつかると何度かバウンドしながら前方へ転がって行く。
ハンターボックスにぶつかり勢いを弱めたサイコロは、横の壁にぶつかりピタッとその動きを止めた。
サイコロの目に今まで以上の叫び声が響き渡り、一郎は控え地点へと走り出した。
サイコロの目は……
ハンターの目
ハンターボックスに白煙が噴射され、ゲートからサングラスを掛けたスーツ姿のアンドロイド(全員イケメン)が飛び出して来た。
「てめえ何ハンター出してんだごらぁ!!!!」
「てか逃げないでハンター引き止めなさいよこのヘタレ!!!!」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」
もう涙を流さんばかりに絶叫する一郎をほとんどの逃走者が罵倒しながら逃げ、なんとかハンターとの距離を引き剥がそうとする。
逃走者は二手に別れ走るが、1人だけ逃げ遅れてしまった。
ハンターの逃走者識別装置に一番後方に位置する者がロックされ、4体とも同じ逃走者めがけて全力で走る。
その者は……。
「っ!?く、黒羽!?」
「はぁ……はぁ……!」
『悪魔の帳簿』メインヒロイン
維新黒羽だ。
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