プロローグ―暮羽刀志―

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あなたの取り柄は? そう聞かれたら唯一自信と誇りを持って答えられるものがある ――剣道だ 剣道はガキの頃から竹刀と木刀と真剣を振り続け、今では八段の段位と全国の頂点の座を戴いている 唯一灰斗に勝てるものだと言えるし、こればかりは譲らない 携帯が震える。開くとEメールを2件受信していた 1つは『居場所を変え、本当の自分に出逢いませんか?』と書かれた、所謂迷惑メールというやつだった 俺は、『本当の自分』という存在しない代物が嫌いだ。 人間底を辿れば、皆醜悪な本性が顔を出す 要するに、探したって無駄に等しいのだ 「……やべ」 もう一件は、剣道部の2年の先輩からだった 『何やってんだ💢ミーティングだぞ!!』 体温が急に冷めていき、冷や汗が額から滴り落ちていった 今日ミーティングあるの忘れてた……! 俺は残り100m程、本気で走った
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