ハジマリ -started-

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「ん? なんだこれ」 好きな絵師さんのホームページを見ていたときに上にあった広告。 ≪こんなにすぐお金が入るなんて! 夢のような収入!!≫ 「…………。」 そう。それをクリックしてしまったのが全てのハジマリだったんだ。 クリックした先には更に多くの人たちの寄せ書きがあり、多くの人々が歓喜のコメントを書いていた。 私の名前は【欲麻 茨穏≪ヨクマ シオン≫】。 絶賛ピチピチの大学2年生だ。 つい最近収入の少ないバイトから別の、もっと収入の多いものはないかと探している最中だった。 そこに、この広告が飛び込んできたんだ。 「…嘘っぽいしなあ、」 そのとき、私はそう呟いて、でも少しだけ気になってそのページをお気に入り登録だけしてページを閉じた。 そのコメントの中の、唯一おかしいコメントに気付くことなく。 「茨穏、茨穏!」 「…!!」 ぼんやりと、この間の夢を見ていた私はそいつの声で目を覚ました。 そこには大学の友人がいた。彼の名前は【金嶺 建雄≪カミネ タツオ≫】。 昔からの幼馴染で、しかし腐れ縁である。幼稚園、小学校、中学校、いわずもがな高校も一緒だった本物の腐れ縁だ。 「…ふぁああ…、なにさ」 「臨時収入入ったからさ、奢るから食堂いかね?」 「…いいのか?」 眠たげな表情がパッと変わったのを彼は苦笑して見つめながら、「いいぜ!」と彼は屈託のない笑顔でそう言った。
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