ハジマリ -started-

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こいつにしては珍しい、とふと席についてからそう思った。 何故なら金嶺は昔から、金には凄くシビアでよほど機嫌が良くない限り先ほどのようなことは言わない。 一回【人生は金だ】と叫んで先生に叱られたほどだ。 「…嫌に機嫌がいいんだな、今日はよ」 「ん? ああ、いい収入源が出てさ!」 「それでゴキゲンなわけ、か。怖いなあお前」 そう言うなよー、と彼はムニッと私の頬を押したり抓ったりするものだから、思い切り金嶺の頬を引っ張ってやったら「ごめんごめん!」と謝罪を述べた。 「おめーにも教えてやろっか?」 「…知り合いと顔合わせになる職場は嫌いでね」 「ん? 顔なんてあわせねーよ!」 「…副職、ってやつ?」 「おう! 1つ質問に答えるだけで!」 …気になった。本音である。 そういえば、昨日の広告にもそんなことが書かれてたっけ。 「間違ってもどうにもなんねーんだけどさ、一問正解するだけで一気に大金が入るんだ!」 「…それ、マジ?」 「おう! 冗談なんかで言う筈無いだろ?」 「まあ、そうだな。…丁度いい、そろそろ収入の少ないバイトも辞めようと思っていたところだ」 「ああ、あの職場? お前居心地悪いって言ってたもんなあ」 「お前は昔から知ってるだろ、私は人間が嫌いなんだ」 「はい、中二発言いただきましたー」 「好きに言いやがれ」 はっ、と私は笑い、そのあとは日常的な会話に戻った。 いつまでも金に関するキナ臭い話はしたくないのはお互い様だったのだろう。 いくら金に執着しようが、それだけは互いに同じだったようだ。 自宅に帰宅して椅子に座った。 PCの電源を押してパスワードを入れ、昨日の広告サイトに飛んだ。 昨日よりも掲示板の言葉は増えており、やっぱりいいのか、などと考える。 【やり方を教える】というボタンをクリックしようとしたとき、掲示板が流れたことに気がついた。 18:45投稿 はやまるな 「…え?」
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