ハジマリ -started-

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私は思わずクリックする手を止めた。 ページを更新すると、言葉がまた流れて出てきた。 18:45投稿 こんなのに手をかけちゃいけなかったんだ 頭から血の気が引いてゆくのが分かる。 直後、そばに置いていた携帯が着信音を鳴らし、私は肩をびくつかせた。 着信先は金嶺で、なんだ、と小さく溜息をついて受話器のボタンを押した。 「もしもし?」 向こう側から、ゴタゴタと音がする。 ガラスの割れる音、ドタンドタンと暴れまわる音も聞こえた。 「…もしもし、金嶺?」 『っ…ぐ、ぁあ』 「!?」 苦しむような声、しかし直後また奮闘するような音が聞こえてパシッ、と携帯は掴まれた。 「もしもし、もしもし!?」 『げほっ、げっ、茨穏っ、か!?』 「あ、ああ」 『あの広告のバイトはやばい、やめろ!』 「!! まさか、掲示板の投稿は…」 『俺だ!!! …ッ!!!』 再び携帯の向こう側から凄まじい音が響きわたる。 そのとき、ドンドンドン!! と大きめなノックが玄関から聞こえて玄関に走る。 扉を急いで上げると飛び込んできたのは頭を切ったのか、頭から鮮血を滴らせた金嶺で、即座に私は扉を閉めて鍵をかけた。 「か、金嶺、大丈夫か!?」 よく見ると全身ボロボロの彼は険しい表情のまま気絶していて、肩を貸すとよたよたと私は歩き出した。 「…ん…? ッテェ!?」 「黙ってろ」 目覚めて第一声に彼は己の傷の痛みに悲鳴をあげた。 苦痛の表情を暫らく彼は示した後に落ち着いたのか、 「…動けねえ」 「当然だ、傷の手当てして包帯巻いてんだよ。ギッチギチにな」 「っひゃー…鬼畜」 「ありがとう褒め言葉だ」 ぐるぐると包帯を巻いてゆき、きつく結ぶ。 表情をゆがめるものの、彼は先ほどのような声は出さなかった。 「…大方は分かっているが、訊いていいか」 「ンだよ」 「…お前は、あの電話を寄越す前に何があった?」 何者かに追いかけられていた。 それは幾ら音しか聴いていない私でも分かった。 だが、何があってそこまでボロボロになっているのか、その理由はどうしても思い浮かばなかった。 「……いいのか?」 「…腐れ縁のよしみだ、聞いてやる」 「でも、聞いたら」 「巻き込まれる覚悟はしてる。言え」 暫らく彼は苦虫を噛み潰したような表情をしたものの、暫らくしてから彼も覚悟を決めたように、 「………数時間前の話だ。」 ついに口を開いた。
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