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「私たちは未来を確定させることが出来た。だから、さっさと行動しなくちゃならない。」
真剣な表情のお前、開いた口が塞がらない状況の、俺。
こいつは最初に会ったときからそう言う思考だけは打っ飛んでいると思っていた。
そして、必ずこいつのこういう発言は1つのパターンでしか言わない。
「…い、いいのかよ。俺なんかのせいでお前まで、」
「だから言っただろ、もう未来は確定させられた。」
「でも…!」
それでも、と彼女は首を振った。
相変わらずだ、あいつは俺のこととなると俺の言い訳すら拒否して手を取った。
自分がどんな目に遭うかだって分かっているのに、だ。
だから、俺たちは何があっても【腐れ縁】なのだ。
「私が決めたんだ、…私はお前の状況で邪魔になる存在か?」
いつでも、俺が困ったときにそばにいて、いつでもヒントをくれる存在で。
だからこそ俺は…、
「………この頑固女」
「なんとでも言いやがれ、欲張り男が」
互いにそう言って、互いを嘲るように笑った。
「で、まずはどうすんだ?」
「広告の発信源、同時にその恨みの元が何かを探し出す。それを探索しないことには始まらないし、あれは一種の呪いだ」
「ま、その一種の呪いってのは分かるけどよ…」
「幸い私の父の働く場所がWebでのそういう関連でもある、父に頼めば少しは情報が見つかるだろう」
「…本当、お前って凄いわ」
「なにが」
「いーや、なんでも。」
あれほど、心を貫きそうなほど募っていた恐怖が、不安が、いつのまにやら消えていた。
それどころか、今の俺の表情は笑顔で。
ああ、確か誰かに言われたな。
とても相性のいい【腐れ縁】だな、と。
「はじめるぞ、金嶺」
「了解、茨穏」
俺たちの謎解きはここから始まった。
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