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小さい頃から俺は声優になりたかった。
演技が上手い、それだけで声優になれると思っていた。
そんなある日、近所でたまたま見つけた声優育成教室の授業を受けてみようと思って早速通うこととなった。
「あ、君、新入りー?こんにちは」
「名前何て言うの?」
「今日からよろしくな!」
受付をすませて教室に入るなり、数名の生徒たちから声をかけられた。
正直、うざい。
ということで、悪いけど無視。
適当に席に座り、携帯を弄る。
大概のヤツは無視すれば諦めて離れていってくれる。そう……
「ねえねえ、私は莉緒(リオ)。高校2年だよ、よろしくね。んで、君は?」
…なんてしつこく声かけてくるヤツはいない………ん?
んんん?
今、声かけられた?
驚きつつ顔を上げると、1人の女子生徒の顔が視界に入った。
………まさか。
「……それって、名乗らないといけないわけ?」
嫌々ながら俺は答えた。しかし彼女はキョトンとしていた。
「え?ああ、名乗りたくないなら別にいいよ?」
「じゃ、しないから」
どっか行ってくれないかなぁ……。
「まあ、これから一緒に授業受けることになると思うし、よろしくね」
莉緒と名乗った彼女は笑顔で言い、俺の隣に座る。
……えー…、マジやめてよ…。
「お前、何でそこ座るんだよ」
「いいじゃん、空いてるんだし」
やめてと言う前に、戸が開いて先生が入って来た。
そして授業が始まったのである。
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