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 別れは、別れを切り出した時から始まる。  その前の覚悟何て、何の意味も無い。  自分の1LDKのマンションに居ても落ち着かなくて、夜の街へと繰り出す。光り輝くネオンと喧騒は、ポッカリと開いた心の隙間を、一時だけでも埋めてくれる。  1月前から通い出した、バーへと足を向けた。  そのバーは、マスターとマスターの御両親で営業している老舗だ。  団体客など居なく、精々3・4人のグループが居れば賑やかな方で、大概は1人客が多い。年齢層も高くしっとりと落ち着いている。25才の女1人でも安心して寛げる場所だ。  カランコロン、ドアに付けられたカウベルの音を鳴らし店内に入る。  左手には大きなテーブル席があり、丸い白熱球が、ぼんやりと照らしている。  右手にはカウンター10席程に、ボックス席が1つある、カウンターの手前端に1人、男性客が居るだけで他に客は居ない。  最早指定席になりつつある、店の一番奥のカウンター席に腰を下ろすと、灰皿とコースターが、マスターの落ち着いた声と共に出て来る。 「いらっしゃい。今日は何にする?」 「エクソシストをお願い」  シェイカーに無駄な動きの無い手付きで、テキーラやブルーキュラソーを入れて行くマスターを見ながら、バックから煙草を取り出す。  タイミング良く出て来たグラスを、一気に半分程空けて、メンソールの細身の煙草に火を付けた。  ふわりと広がる煙の奥に、整然と並べられたボトルを眺める。  いや、ボトルを眺めて居るのでは無い、ボトルの背面に張られた鏡に映る、情けない顔をした自分を見ていた。  かっこわる・・・  見て居られなくて鏡から視線を外し、右手に煙草を持ったまま、グラスの中の液体を、一気に喉に流し込む。
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