序章

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轟音 遠い頭の上を、機械的なエンジン音を響かせながら、幾つかの物体が通り過ぎていく 《…空爆隊が先行した。二分後に作戦を開始しろ》 ヘルメットの内側に取り付けられた無線機から低い声が流れてくる 生い茂る草むらの中で寒さに震えていた年の若そうな男は、確認するように耳に手を当てた 「…りょ~かい。ったく、こんな仕事米軍か特戦群にやらせろよ…」 冷たい北風がサワサワと揺れる合間に、男の呟きが吹き抜ける 「文句を言わないでくださいよ中尉。私達だって我慢して待ってるんですから」 カサカサと草をかき分ける音がした後、背後から凛とした女性の声が聞こえた 男は大して驚くような素振りも見せず、後ろを振り返る そこには顔をドーランで塗りたくり、着込んだ緑の戦闘服に様々な装備品をぶら下げた女性が、中腰でこちらを見つめていた 同色のヘルメットから覗く黒髪は肩口で切りそろえられており、キリッとした顔立ちも相まって気の強そうな印象を受ける
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