序章

3/19
前へ
/56ページ
次へ
「分かってるっての。でもグチの一つくらい良いだろ?俺だって人間だ」 「霧島中尉の場合いつもに思えますけど、いいです。作戦が始まりそうなので今回は目を瞑っておきます」 唇の端をクッと吊り上げて笑う彼女に、思わず溜息が漏れる 緊張感が無いのは相変わらずだが、男ー霧島はいちいち注意をしない 彼女のこの性格は今に始まった事ではないし、何より霧島指揮下の全隊員に規律を説くほど余裕もない 腕時計の秒針が50に達する 「…時間だ、萩野も持ち場に戻れ」 「イエッサ~中隊長殿。楽しい人殺しの時間ですね…」 怠そうな視線とやる気のない発言を残し、草むらの中に戻っていく そんな彼女に特に言葉を掛ける事はせず、冷たい地面に腹這いになる そして脇に置いてあった12式小銃を掴み取り、バーを動かして初弾を叩き込む そう遠くない所で、幾つもの爆発音が鳴り響く
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加