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「狙撃兵、建物と路地を彷徨いている敵を始末しろ。その後各小隊は分隊ごとに襲撃。あとは手はず通りに、素早く行動しろ」
手短に口元のインカムに吹き込むと、小銃を構えて勢いよく飛び出す
雑草が体に当たる感触を無視し、視線を前方へ
霧島が走る先には寂れた雰囲気の庁舎が鎮座しており、割れた数カ所の窓からは赤い液体が垂れ流れている
《海兵隊が右翼を突破した。第12連隊が正面の敵と交戦中。降下連隊は彼らのためにも迅速に行動してくれ》
先ほどの人物とは違う声だ
上空のブラックホークからだろうか
ふと頭を過ぎった考えを振り払い、最寄りの扉に走り寄る
建物全体を覆う白い塗装は時の汚れに黒ずんでおり、目の前の金属製の扉にしても、あちこちにぶつけたような痕がある
続けて走ってきた数人が霧島と同様に壁に背中を預け、呼吸を整える
彼らが息を荒げている間に銃口を取っ手へ向け、何発か発砲する
運良く弾が錠の部分に当たったらしく、扉がひとりでに開いてくれた
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