獣々見聞録

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    帰り道。 「お前、授業中に話しかけんのやめろよな。」 回りに誰もいないことを確認し、言う。 『なんだよ、それ。』 と、どこからともなく飛んで来たカラスが言う。 『俺がせっかくアド……アド……。』 「アドバイス?」 『そう、それ。 俺がせっかくアドバンスしてやったのによ。』 「間違えてるし……。」 『大体さ、何だよカブトムシって。』 「好きなんだよ、あいつら静かだし。」 『そうか? 固いし、身はつまってねぇし。 セミの方が美味いぜ?』 「最悪。」 言って、俺は足を早める。 『待てよ、進一郎。』 頭に消しゴムをぶつけられた。 『はは、命中。』 「おい……。」 『依頼だよ、依頼。』 ……俺は立ち止まり、振り返る。 「今日はそんな気分じゃねぇんだけど。」 『北桜川のツバメちゃん。 ヤバいみたいよ。』 「はぁ……。」 最悪。 「で、どのくらいヤバいんだ?」 俺ってダセェ……。
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