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―――――4月。桜咲き乱れる校舎。駐車場の高級車から出てくる政治家、会社の社長の面々。
教師たちは、保護者に対するご機嫌取りを忘れない。
そんな学校。超お金持ち学校である白蘭学園の校門に、一人の女性の姿が。
腰までの黒髪に、色の白い肌。履いているヒールが、元々の長身をさらに引き立てている。
「 」
女性は、何かを呟くとまっすぐ校舎の方向へと歩いて行った。
道行く人々は、その凛々しい姿にほう、と息を吐く。
それ程までに、その女性は可憐で美しかった。
「初めまして。本日からこちらに勤めることになりました、鬼堂院魅織(きどういん みおり)です。
何かとご迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします。教科は、英語を担当します」
そこまであいさつし終わると、周りからはパチパチと少しだが拍手が聞こえてくる。
魅織は、周りの教師に一礼して自分の机に座る。
他の教師たちの視線は、魅織に集中する。
何せ、この学校は選ばれた教師しか勤めることが許されず、魅織のように若い教師が殆ど居ないのである。
そんな珍しいものを見るような視線に、魅織は気づいているのかいないのか。涼しい顔である。
「では、鬼堂院先生には高等部1年の英語を担当してもらいましょう。では、各自持ち場へ向かってください」
その声で、学担である教師たち数人が動き出した。
魅織も、授業で使う教材の確認をすると立ち上がり、備え付けのコーヒーメーカーでコーヒーを入れると、机に戻り何やら本を取出し、読み始めた。
数十分して、HR終わりのチャイムが鳴ると、魅織は使う教材を持って担当する教室に向かった。
金持ち高校なので、校舎がバカ広いのである。
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