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昼休み、魅織は資料室で難しそうな本を読んでいた。
資料室といっても、最早ただの物置としか機能していない。
「こんなに面白いものがたくさんあるのに。勿体ない」
そう独りで呟くが、その声は虚空に消えてしまう。
時計を見ると、いつの間にか思っていたより時間が経っていたことに気付く。
戻るために席を立ちあがった時、1人の男子生徒が入ってきた。
魅織は、そんなことには無関心なのか、男子生徒の横を通って出ようとした。
が、それは男子生徒に腕を掴まれて阻まれてしまった。
「鬼堂院先生、ちょっといいですか?」
魅織は、その生徒の顔を確認すると、面倒くさそうに言う。
「櫻川恭弥(さくらがわ きょうや)君、でしたか?
何ですか。何か質問でも?」
魅織のその反応に、恭弥はくくくっ、と笑う。
そんなことには一々反応せず、黙って続きを促す。
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