secand period

2/8
前へ
/14ページ
次へ
 昼休み、魅織は資料室で難しそうな本を読んでいた。  資料室といっても、最早ただの物置としか機能していない。 「こんなに面白いものがたくさんあるのに。勿体ない」  そう独りで呟くが、その声は虚空に消えてしまう。  時計を見ると、いつの間にか思っていたより時間が経っていたことに気付く。  戻るために席を立ちあがった時、1人の男子生徒が入ってきた。  魅織は、そんなことには無関心なのか、男子生徒の横を通って出ようとした。  が、それは男子生徒に腕を掴まれて阻まれてしまった。 「鬼堂院先生、ちょっといいですか?」  魅織は、その生徒の顔を確認すると、面倒くさそうに言う。 「櫻川恭弥(さくらがわ きょうや)君、でしたか?  何ですか。何か質問でも?」  魅織のその反応に、恭弥はくくくっ、と笑う。  そんなことには一々反応せず、黙って続きを促す。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加