心、奏でて…

１６

想いを伝え合って…
優しく口づけされた。

それだけでもう、あたしはいっぱいいっぱい。

だって…
違いすぎるんだもの。

本当に好きな人との口づけは、こんなにも喜びや愛しさを感じるんだということに今やっと気付いた。

だから、今はこれ以上は無理…っていうか、
あたしの中の準備がなにひとつ整ってない。

戸惑うあたしの顔を見つめる奏さん。

ドキドキはもうアレグレット。

「……キスは、いい？」

優しく問われて、黙って頷く。

伝わった…？

ごめんなさい。
もう少し待ってて…

心の中で謝りながら顔を上げると、さっきよりも深い口づけが待っていた。

初めて知った本当の口づけに、あたしはただただ溺れた。