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奏さんを ソウさんと呼んだあの人に… 「………やきもち、です」 あたしの答えに安堵した表情になった奏さん。 「…百音、俺の本当の名前『かなで』を知ってるのは、家族以外では君だけだ。 それに、『かなで』と呼ぶのも百音だけ」 あたしだけ…なんだ。 なんだか嬉しい。 だけど、気になることがある。 「あの…どうして普段は『ソウ』なんですか?」 「…母親が『ソウ』と呼ぶから…かな」 奏さんはそれ以上は語らず、あたしも聞かなかった。 あたしだけが呼んでいい名前。 今はそれでいい。 とっかえひっかえの事実は… 明日香さんやその他の女性たちが、お母様の仕事の関係で頻繁に来店していた… そういうことなんだ。 いつの間にかまた繋がれていた奏さんの手を、あたしはギュッと握り返して車まで歩いた。
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